カンボジアは貧困を半減することに成功した。ただ、それはかつて貧困層だった人たちが少しだけ貧困から抜け出しただけ。日常生活に潜む些細な出来事が彼らの生活を悪化させ、貧困層へと逆戻りするリスクを暗示している。
カンボジアは貧困削減を継続できるのか。これから何をすべきか考えるとき、カンボジアの政策決定者は「なぜ、貧困を半減できたのか」考える必要がある。
何が貧困を半減させたのか?
世界銀行の推計によると、米の価格上昇(24%)、米の生産性上昇(23%)、農村部の賃金上昇(16%)、農業以外の収入(19%)、都市部の賃金上昇(4%)が影響しているとのこと。米の価格は37.1%上昇し、これが農民の収入を向上させ、生産を増加させるモチベーションにつながったとの分析だ。要すれば、外的要因によって、貧困削減が進んだということになる。
どのような政策が貧困削減を進めた要因を生み出したのか?
世界銀行は、政府が進めた複数の政策が貧困削減に寄与したと見ている。基礎インフラ整備(道路、通信、農村灌漑)、米生産性向上(米に関する価格統制や税を適用しない)、アパレル産業への最低賃金の適用、産業政策全般。
世界銀行の分析の要点
貧困削減の要因は持続可能なものではなく、外的な要因によるものだった。米の価格上昇が主要因であり、これが継続するとは考えられない。政府が上述の政策と併せて、貧困線の少し上にいる脆弱層もターゲットとした政策を実施していくことが、貧困削減を継続させる上で重要。
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