英国サセックス大学開発学研究所(Institute of Development Studies)のローレンス・ハダッド所長が、興味深い記事をブログで公開した。IDSはこの程、修士課程のリーディングリストを初めて公開したとのこと。イギリスの大学院ではリーディングリストの公開は一般的に行っておらず、珍しい試みのようだ。
実際に見てみると、古典から最新の論文まで多く含まれており、毎年更新されていることが伺える。せっかくなので、その中からいくつか役立ちそうなものをピックアップしてみたい。また、リーディングリストを眺めているうちにたどり着いたお役立ちサイトなどもついでにご紹介しておく。
1. IDS修士課程のリーディングリスト
今年から公開され始めたため、過去のものは掲載されていない。今年のコースワークの進捗にあわせてリストが随時更新されていくようなので、今後に期待したい。1コースあたりのリーディングリストが豊富で、コース内容もより充実したものとなっている印象。
2. World Bank Institute (2005) Introduction to Poverty Analysis
少し古い文献だが、世界銀行の貧困分析のガイドライン。貧困分析に関する理論から手順まで実務家に配慮しながら事細かに書かれている。
3. Asian Development Bank (2007) Poverty Handbook
こちらはアジア開発銀行が作成するガイドライン。世界銀行のものと見比べてみたいところ。
4. 黒崎卓『貧困と脆弱性の経済分析』
貧困分析を計量経済の知識を用いて行った日本語の文献。この手の分析手法を採用している文献は、日本語では珍しい。平易な表現で書かれているので比較的読みやすい。ただ、専門用語を英語で勉強している方には、日本語と英語の対応関係を理解するのに苦労する。
5. Ivan Gachet (Web) STATA for Poverty Analysis
統計ソフトを貧困分析でどう使うかを説明した個人サイト。