国際

国連での仕事とそのモチベーション

連載『サッカー選手の夢破れ、国際協力の世界へ』

高校時代に自身が経験した貧困体験、サッカー選手になれなかった悔しさを元に、国際協力の専門家になることを夢見て一念発起。JICAでのインターン、総合商社、国際NGO、英国大学院を経て国際機関で勤務する筆者の経験談。

  1. サッカー選手の夢破れ、国際協力の世界へ
  2. 開発の仕事に就くまでの道のり
  3. NGOで働くための覚悟をもつまで-難民キャンプでの生活について
  4. アフリカ式マネジメントTIA (This Is Africa)-ガンベラ難民キャンプ
  5. 銃撃戦に巻き込まれて
  6. 難民キャンプから英国開発学研究所という選択肢
  7. 国連での仕事とそのモチベーション

本連載を開始させて頂いてから早くも半年以上が経過し、早くも予定していた最終稿がやってきてしまいました。思えば、本連載を始めた2018年8月には、エチオピアにある国連開発計画(UNDP)アフリカ地域事務所にて勤務をしていたのですが、2019年2月より本部のニューヨーク事務所に異動したりと、組織は同じですが、チームのメンバー、担当する役割も変わりました。

大学院を卒業後、イギリスからエチオピアに戻り、国連開発計画で 暴力過激主義抑止活動(Preventing Violent Extremism )に1年5ヶ月程関わらせて頂き、チャド共和国を始め、観光旅行では中々訪問しないような国々を訪問する機会を頂き多くのことを学ぶことができました。

国連開発計画は、私の関わっている「ガバナンス、平和構築」を始め多くの分野において、途上国の政策作りのお手伝いや、戦略を共に作るお手伝いをする中で途上国の発展に寄与している国連の一機関です。

その活動範囲は、開発途上国の根本的な開発課題を検証するリサーチーから始まり、リサーチ結果に基づいた、途上国政府へのアドバイザリー業務、そして、プロジェクト実施と多岐に渡ります。

その幅広さから開発業界の総合商社と言われることもありますが、その中でも私は主に、紛争予防、脆弱国家の根本的な原因の追究や、解決策を導くための検証、アドバイザリー業務に関わっています。

2月に本部に移ってもうすぐ2ヶ月となりますが、本部レベルでは国連開発計画として、今後どのような所に注力をし、どのようにパフォーマンスを出すのか、戦略対話、自分たちの立ち位置、世界の情勢分析などなど、より俯瞰的な立場から業務に携わっています。

難民キャンプで過ごしていた時と比べると、現場から遠い業務でたまに寂しくなるときもありますが、あの難民キャンプで過ごした2年間近くの期間で感じたこと、難民の声、現場のニーズを体感知として忘れずに、間接的にではありますが、現場に届くサービスを実現するために、日々奮闘したいと思います。

思えば、第1稿で記載した高校時代の自分が体験した貧困を元に国際協力の道を目指したわけですが、モチベーションの源というものは、時とともに、多元化し、今では多様性のある仲間と一つの高い目標達成のために喧々諤々意見を言い合える環境で高め合っていけることも現在のメインのモチベーションでもあります。

ただ、高校時代から変わっていないと胸を張って言えることは、自分の直感ややりたいということに素直に動き、選択してきたということです。振り返れば、それがたまたま結果的に国連職員となっただけで、それ以上でもそれ以下でもなく、自分の内面の声に素直に生きることを実践してきた結果、好きなものをやっているからそれだけ、頑張れたのかもしれません。

国連職員は終身雇用ではないため、安定した職業では決してないし、この連載後の5年後、3年後すら自分がどこにいて何をやっているかもわかりません。ただ、銃撃戦の経験を通じての一稿でも書かせて頂きましたが、後悔なきように、自分のインナーボイスにこれからも素直に精一杯生きていきたいと思います。

最後に、これまで半年以上に渡り、私の拙い連載をお読み頂いた方々、ありがとうございました。開発業界は狭い世界ですので、是非FBやソーシャルメディアで繋がらせてください(連載についての忌憚なきご意見も是非お聞かせ頂きたいと思います)。

そして、編集長の敦賀さん、私のようなまだまだキャリア発展途上の若者にこのような貴重なチャンスを下さりありがとうございました。今回は、半生を振り返り、オンラインの向こう側のどなたかのキャリアの一助にでもなれば、という趣旨でキャリアを振り返るシリーズでしたが、また更にキャリアを積んできたら、もう少し踏み入った国際協力の話もできるかもしれないので、その際は別の連載にまた取り組ませてください。そういった話ができるようになることを中期目標に自己研鑽を続けます。

読者のみなさま、改めてありがとうございました。もしニューヨークにお越しの際は是非気軽にご連絡を下さい。それでは、その日まで私も頑張ります。

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