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二乗貧困ギャップ率(Squared Poverty Gap Ratio)

※追記(2016年11月1日):「開発途上国の貧困の定義と計測方法のまとめ」を別の記事に掲載しました。新しく出てきた貧困の定義や貧困指標など、開発途上国の貧困分析に関する現状をわかりやすく解説しています。あわせてご覧ください。

概要説明

二乗貧困ギャップ率(Squared Poverty Gap Ratio)は、貧困層内における経済格差に着目した指標である。貧困率は貧困層の割合に光を当て、貧困ギャップ率は 貧困の程度に着目した指標だった。しかし、これらの指標を用いては、貧困層内の所得および支出の格差を計ることはできなかった。そこで貧者の支出(所得) の不足分を二乗することで、より貧しい人の状況を指標により大きく影響させようとしたのが、二乗貧困ギャップ率である。つまり、「貧困線直下に貧困層が密集している地域」と「貧困線よりもずっと下の方に貧困層が集中している地域」とを区別するためにこの二乗貧困ギャップ率が用いられるのである。

この指標は貧困分析を専門としている研究者の間では既に当たり前のように用いられているが、実務レベルではまだまだ用いられていないのが現状のようだ。し かし、上述の例を比べてみると明らかだが、前者よりも後者の方が、切迫した経済状況にある貧困層が多いことがわかる。この事実を無視して政策を実施するのと、これをうまく政策に組み込むことができるのとでは、援助効果に天と地程の差がでることもあるのかもしれない。実務レベルで学術的なアプローチが必要と される最も良い例の一つではないだろうか。

計算式

P2
FGT 2 = 二乗貧困ギャップ率(Squared Poverty Gap Ratio: P2)
H = 貧困者の数(Poverty Headcount)
N = 総人口(Number of Population)
Z = 貧困線(Poverty Line)
Y = 家計(Income/Consumption)
*『二乗貧困ギャップ率=(貧困線以下にいる人々の不足額の二乗)の合計÷総人口』となる。

The Povertist内の参考記事

外部の参考文献

貧困分析を基礎から学びたい方へおすすめ(和書)

開発経済学を基礎から学びたい方へおすすめ(洋書)

国際協力用語に関する辞書(和書)

外部リンク

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