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ラオス国営航空の対応-パクセ経由プノンペン行きは波乱の幕開け

To Phnom Penh via Pakse by Lao Airline
To Phnom Penh via Pakse by Lao Airline

東南アジアレポート 17 -ラオス航空の対応

2007年11月16日 Vientiane (Laos)

搭乗2時間前になり、周囲が慌しくなってきた。どうやら搭乗手続きが始まったようだ。搭乗客が長蛇の列を作り、カウンターへ一直線に伸びている。僕は前から10人目くらいの位置につけた。5分、10分、15分。しかし、待てども待てども蛇の頭は見えてこない。いくら待ってもなかなか前に進まない。周囲の客は白人ばかり。日本や他の先進国では考えられない遅さだった。カウンターを覗き込む老夫婦。イライラを抑えるかのように汗をしきりに拭く男性。小さな待合室には明らかに大きな不満が立ち込めていた。

30分は待っただろうか。ようやく僕の順番が回ってきた。「やっとこれで開放される。」長い戦いの終わりが来るかに思われた。しかし、これが忘れもしない 戦いの始まりだったのである。受付の女性が僕に継げた言葉は何とも残酷なものだった。「ここは国内線の受付です。パクセを経由してプノンペンに向かう方は あちらの列の最後尾に並びなおしてください。」信じられなかった。「この人は何のことを言っているんだ?」全く理解できなかった。ここまでくるともう反論する気力もない。そもそも反論したところで相手がそれ程英語を理解してくれるようにも思えなかった。

仕方なく、もう一度列の最後尾に並びなおすことにした。それから1時間30分。3時間近く前に空港へ到着し、どの乗客よりも余裕を持って待合室に入ったにもかかわらず、このとき僕は最後の乗客として列に並んでいた。目の前にはたった1人、白人女性がいるだけだった。たびたび、彼女は振り返り、肩をすくめ、 噴火しそうなイライラを抑えていた。

そして、いよいよ彼女の順番が来た。その時、突然照明が落ち、それまで周っていた天井のファンが止まった。停電。映画の中で起承転結の「転」のシーンを演じている気分だった。「停電でシステムがダウンしました。もうしばらくお待ちください。」その瞬間、ついに彼女の我慢は限界に達した。「ここの航空会社は 私がいままで乗った中で最低だわ!5年も東南アジアに住んでいるけど、最低よ。航空券だって安くないのよ!」一気にまくし立てた。「私たちのシステムが脆弱ですみません・・。」申し訳なさそうに応える職員にも彼女は容赦しない。「コンピューターのせいにする前に、もっとサービスを良くできるでしょって、上司に言っておきなさいよ!」彼女の怒りは最後まで収まらなかった。「もう絶対に使わない」と吐き捨て、彼女はカウンターを後にしようとした。「やっとチケットもらえたね。」と話しかけると笑顔で「幸運を祈るよ」と返してくれた。そう、今度は僕の番。搭乗時刻まで15分。チケットを貰って職員の先導で航空機へ一目散に向かい、何とか乗り込めた。

あまりに印象的なラオスとの別れ。そして、これがラオスの文化だったのかもしれない。僕や他の白人客にとっては本当にイライラする待ち時間だったけれど、 ラオスの人たちはいつもこんな風にのんびりと生活をしているのではないだろうか。時間の感覚が全く違う。僕らがあまりにも急ぎすぎているだけなのかもしれないし、彼らがのんびりしすぎているのかもしれない。どちらなのか、答えは誰にもわからない。

いよいよ、カンボジアの首都プノンペンが見えてきた。

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