東南アジアレポート 13-ビエンチャンとメコン川
2007年11月15日 Vientiane (Laos)
東南アジア独特の夕暮れ。メコン川の向こう側にオレンジ色の太陽が沈んでいく。対岸に見えるタイの農村も少しずつ闇の中に消えていく。ラオスへ来て6日目の今日、ずっと霞がかっていた雲がやっと晴れた。東南アジアの写真集によく出てくる風景が今目の前にある。その荘厳さに圧倒されずにはいられない。明日の午後にはカンボジアへ向けて出発しなければならないのだけれど、ずっとこの夕日を見ていたいと思ってしまう程、その美しさは僕を魅了している。
昔々、 日本の詩人たちは本当にすばらしい言葉を生み出した。「物思いに耽る」僕の知る限り、英語にはない表現だ。メコン川に沈む夕日を眺めていると、まさに物思いに耽っている自分に気付く。いつの間にかこの旅のこと、恋愛のこと、将来のこと、本当に色々なことに思いを馳せてしまっていた。そして自問自答してまた夕日を見たり、ゆったりと流れる時間の中で、自分と向き合うことができていたような気がする。
「この夕日を次に見るのはいつになるだろうか。もしそんな機会があるのなら、そのとき僕は何をここでしているのだろうか。どんな仕事だろう。」この旅を始めたのも将来の職業について考えるためだったことは、何度も書いている通りだが、ここに来て少しずつそれが何なのか見えてきている気がする。だけれど、それが 本当に自分のやりたい仕事なのか。本当にやり通せる仕事なのか。まだその夢は霞んではっきりとは見えない。だけれど、ぼんやりと見えてきたことは事実だ。どこか美しい光を放っている。まるでこの夕日のように。