南スーダンの首都ジュバでアクセス道路開通、JICAが支援
5月9日、自由橋へ続く1.6キロメートル超のアクセス道路が国際協力機構(JICA)から政府に引き渡された。紀谷昌彦在南スーダン日本国大使は引き渡し式において、「橋完工の2年前にして、本プロジェクトは既に地域に便益をもたらしている。200人の南スーダン人への雇用機会を生み、労働者は日々の業務から技術を習得している。」と語った。
これに対し新任のレベッカ・ジョシュア・オクワシ道路橋梁大臣は、「建設現場の200人の南スーダン人労働者が多くを学んでいることをこの目で確認した。技術移転の機会に感謝申し上げる。」と、JICAへの謝意を述べた。
また、オクワシ大臣は、「本アクセス道路の建設にあたり土地を提供いただいた地域住民や行政に対して感謝申し上げる。暫定政権は工期通りに後2年間で橋が完工するための必要な環境整備を進める。」と約束した。
562メートルの自由橋は2018年に完工する予定である。
引用元:JICA Hands Over New Access Road in Juba (THE NATIONAL TODAY – 2016年5月10日)
南スーダン駐在員による解説
南スーダンの首都ジュバの東側を南北に縦断する白ナイル川には現在、1970年代に建設された一本の橋が架けられているのみである。ウガンダとの国境のニムレからジュバへ毎日積荷を満載したトラックが同橋を渡って運搬されているが、老朽化が激しく過去複数回落ちるなど物流と市民生活に支障をきたしている。
「ナイル架橋建設計画」は南スーダン経済のアキレス腱であるナイル架橋を新設するものであり、南スーダン政府によりFreedom Bridge(自由の橋)と命名された。80億円を超えるアフリカでも最大規模の無償資金協力であり、南スーダンにおける日本による協力のフラッグシップ案件である。
今回のアクセス道路の開通式の様子は5月10日付の主要日刊英字紙4紙及びアラビア語紙1紙で大きく取り上げられており、本プロジェクトに対する期待と関心の高さが伺える。また、オクワシ道路橋梁大臣の発言からは、暫定政権の和平の恩恵を国民にアピールする狙いが読み取れる。
本プロジェクトは2013年12月に勃発した紛争により約1年間の工事延期を余儀なくされたが、欧米各国ドナーが政府と距離をおき、中央政府に対する援助が減少した中でも地道に工事は進められた。このことは、「日本は紛争の中でも南スーダンの友人として逃げずに協力を続けてくれた」という認識を政府内に広げており、南スーダンにおける日本のプレゼンスを高めている。
なお、新聞記事では触れられていないが、建設現場では建設技研インターナショナルの施工管理のものと、DNC大日本土木株式会社のエンジニアが毎日南スーダン人とともに汗を流し、急ピッチで工事を進められていることに言及しておきたい。
関連記事が掲載された現地紙と見出し
- This DAY. 1.6 KM Linking Road Officially Launched in Lologo-Juba(一面)
- THE NATIONAL TODAY. JICA Hands Over New Access Road in Juba(一面)
- THE NATION MIRROR. Minister Rebecca Okwaci Hails Japan On Freedom Bridge Project(一面)
- JUBA MONITOR. Road to Freedom Bridge Opened
- AL-WATAN.