ルワンダ

ルワンダの商品作物「コーヒー」

Photograph: Ippei Tsuruga

「商品作物」という言葉をご存知だろうか。日本に住んでいるとあまり聞かない言葉かもしれないが、中所得国及び低所得国では結構一般的な言葉であったりする。商品作物とは、生産国の消費よりも市場(特に高所得国)での販売を目的として生産する農作物のことである。私が現在、住んでいるルワンダでも商品作物、紅茶や特にコーヒーなどが生産され(昨年ルワンダでは、コーヒー及び紅茶の輸出額は約120億円となっており、ルワンダの主要輸出品となっている)、欧米を中心に輸出されている。

ルワンダのコーヒーと聞けば、スターバックスで飲めるルワンダのリザーブコーヒーを思い浮かべる読者もいるのではないだろうか。ルワンダの別名でもある「千の丘の国」からも分かるように、ルワンダには数多くの丘があり、プランテーションに不向きな地形であることから、小規模農家がコーヒーを輸出向けに栽培しており、ルワンダ地元民にとってはコーヒーは高価なこともあり一般的な飲み物としては普及していない。

ただそんなルワンダでコーヒーレッスンなるものがカフェで受けられることが判明したため、早速参加してきた。そこで学んだことをざっくりまとめると、コーヒーは元々エチオピア発祥であり、ルワンダにはなかったこと。ルワンダで生産されるようになったきっかけは、ルワンダにやってきたヨーロッパ人がルワンダの気候がコーヒーに適していることを発見し、コーヒーを植えた。その後、ルワンダから自国に輸入するようになった。とのことだった。輸出がきっかけで、コーヒーは地元民の自給作物ではなく商品作物としての役割を果たすようになった。しかし、最近では欧米を中心に消費者が健康志向になっており、オーガニック食品もしくは無農薬食品のように商品作物に付加価値をつけないと中々売り上げにつながりにくくなってきているとのことだった。

このように、輸出に頼った商品作物の場合は国際市場のニーズを敏感に汲み取らないと、販売が難しい。

また国連食糧農業機関(FAO)によると、商品作物のような利益に直接結びつくような作物は主に男性が生産し、女性は安価な自給作物生産に従事する割合が高いとのことだった。気になって、コーヒーの先生に尋ねてみると、そこのカフェでは女性の農業従事者のエンパワーメントを目指しており、女性の生産者は全体の約9割を占めるとのことだった。

読者のみなさんもこれから日本でルワンダ産のコーヒーを見かけたら、遠くルワンダのコーヒーの歴史に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

参考文献

Guendel. 2009. What are “women’s crops”, and why? Food and Agriculture Organization.

THE POVERTIST 2018年9月1日号

新興国の挑戦 2018年9月1日号 好況が続く世界経済は、中所得国を高所得国へ押し上げただけではなく、多くの低所得国を中所得国へ「卒業」させた。「中所得国の罠」で語られるように、中所得国は特有の新しい挑戦に立ち向かわなければならない。

THE POVERTIST 2018年8月1日号

残された課題 2018年8月1日号 暗い影を落とした金融危機の記憶はとうの昔に人々の脳裏から離れ、好況に沸く世界経済の恩恵を多くの人々が笑顔で迎えている。経済成長が貧困削減を推し進め、広がる格差に歯止めを掛ける政策は後手に回っている。

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