2005年から2012年にかけて、インドでは急速に貧困指標の改善が見られた。
世界銀行が行った分析によれば、労働収入の急増が大きな要因のようだ。特に農村部の単純労働者の賃金増加と収入源の多様化による貢献が大きい。送金や社会保障制度も要因の一つと見られるが、調査対象機関における主たる要因ではなかったようだ。
一方、劇的な貧困の改善にもかかわらず、特定のグループでは、生活水準の改善が見られなかった。また、貧困削減は進んだものの、貧困に陥るリスクを抱える人々(脆弱層)の割合には変化は無かった。
今後の課題は、絶対的貧困の削減だけではなく、貧困状態を脱却した人々が再び貧困へ陥るリスクをどう軽減するかにかかっているようだ。
参照:Salazar et al. (2016) Why did poverty decline in India? a nonparametric decomposition exercise.