スーダン

経済発展だけじゃない、不平等の是正をも目的とした新たな行動指針SDGs達成に不可欠な「草の根」の包括的なアプローチとは?

Photo: Ryoya Tasai

2015年に終焉を迎えたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)。MDGsを終え、世界の貧困は半減したとされているが、その一方で不平等・格差の問題は置き去りにされてきた。

現在、MDGsに代わる新たな開発目標として17の目標と169のターゲットからなる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)が策定されている。SDGsは、2030年までに貧困に終止符を打ち、持続可能な世界を構築するために、より包括的なアプローチが必要であることを示唆している。

MDGsは、先進国向けに定められた開発目標であったのに対し、SDGsは途上国を含むすべての国を対象とした普遍的な開発目標である。先進国側からのアプローチだけでなく、途上国側からの内発的な「開発」がSDGsの達成に大きく寄与していくことになろう。

貧しい人々が誰一人取り残されない社会を実現するためにー各国政府に課せられた課題

世界は、既にこの新しい目標の達成に向けて動き出しているが、SDGsを達成するために実施されている各国・各セクターの取り組みに目を向けると、その足並みは一様ではない。

というのも、SDGsには法的な拘束力はなく、各国々が目標の達成に向けて取り組む(政策決定等を行う)ためのいわばガイドラインであるからだ。

2030年までの進捗状況に関し、国内、地域、グローバルのレベルでフォローアップと検証を行う責任は、各国にある。各国がSDGsの優先課題を抽出し、国家計画に反映させ、これを実施するための体制を構築しているということが大前提となっているのである。

しかし、国内レベルで進歩状況を監視するための、アクセス可能な適時のデータ収集や、地域的なフォローアップ・検証が満足にできない国も多いのが現状だ。

国内で大規模な統計調査を行うに際しても、その基盤が整っていない国でのインパクト評価は困難を極める。政府による組織的な調査にはカネがかかり、その経過を見ることは難しいからだ。

この時、政府が定める方針を「待つ」のでは、いつまでも開発目標を達成することは難しいだろう。

SDGsの達成に向けてースーダン共和国を事例に

北アフリカに位置するスーダン共和国を例に挙げたい。スーダンの国民一人当たりのGDPは2016年時点で、世界172位と報告されており、安全な飲料水や公衆衛生へアクセスできる水準も低い。1990年代までは長引く内戦や経済制裁などで経済は破綻状態にあった。

一帯が砂漠地帯の国であるため、水や電気などのインフラが未整備な地域や、無医村(医者のいない村)の数が多く、まさにSDGsで言われるところの「取り残された国」の一つであるといえよう。

SDGsの達成に向けて、必要なのは産・官・民などのマルチステークホルダーが連携してそのゴールを目指すところであるが、汚職が深刻化しているこの国では、腐敗認識指数も168か国中165位という不名誉なデータが報告されているほどで、政府主導の開発に過度な期待はできない。

スーダンでは目標の達成に向けてどのような動きがなされているのだろうか。

 

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スーダンの砂漠地帯で暮らす1万人に安全な水を届けたい!

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