開発学とは?
開発途上国が抱える課題を扱うための学問として、開発学(Development Studies)という新しい分野が確立されました。一般的に開発学は社会科学に分類されます。
開発学の特徴は、学際的アプローチ(Multidisciplinary Approach)にあります。たとえば、伝統的な経済学や政治学が経済・政治の観点から開発課題を研究するのに対し、開発学は経済・政治の両面から研究を行います。また、開発実務で必要なプロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)や参加型手法(Participation)など、実務的なスキルを磨くコースもあります。いずれの場合も、開発途上国で現在起こっている事象の分析と解決方法を検証することを目的としている点に特徴があると言えるでしょう。
開発学を学べる国内外の大学・大学院
開発学を扱う大学は年々増えています。日本国内でも東京大学や神戸大学などがカリキュラムの一部に採用するなど、日本の国際化の文脈でも注目を集めている学問と言えるでしょう。
一方、開発学を専門に扱うコースは日本国内にはあまりありません。植民地統治を研究してきた歴史的背景から、開発学はイギリスで確立され、現在もイギリス国内に多くのコースがあります。大学学部レベルでも開発学を扱うコースはありますが、多くの場合、大学院レベルとなるでしょう。学部では伝統的な学問(経済学、政治学等)を学び、大学院で開発学を履修することで応用力をつけるイメージなのでしょう。
国際協力・国際開発でおすすめの大学院
私はイギリスのサセックス大学で開発学を学びましたので、もちろん、サセックス大学の開発学研究所(IDS)はお勧めです。世界ランキングには登場しませんが、オランダのマーストリヒト大学も最近伸び盛りの大学です。国連大学の一部であるUNU-MERITと共同で運営する大学院は開発経済・社会保障分野で有名です。
専門分野ごとに強みが違うため一概には言えませんが、ミッドキャリアと学部卒の比率は大学院選びで大切な要素だと思います。キャリアをある程度積んだ後に大学院で学び直す人が多いIDSは、教授陣でさえ学生から学ぶことが多く、クラスメイトから学ぶ現場の経験は座学では得られない経験となります。
世界大学ランキング(開発学)
開発学を学べる大学はたくさんあり、各大学がそれぞれ強みを持っています。したがって、「大学ランキングの上位だから選ぶ」といった進学先の選び方はオススメしません。しかし、ランキングの上位にある大学はそれなりの理由があると考えて良いでしょう。
ご参考までにイギリスの大学評価機関が公開している世界大学ランキング(開発学)をご紹介して、このコラムを終わりにしたいと思います。サセックス大学は並みいる有名校を抑えてトップに定着しました。日本の大学で上位100校に入っているのは、東京大学のみとなっています。
大学名 | 2017 | 2018 | 2019 |
---|---|---|---|
サセックス大学 | 1 | 1 | 1 |
ハーバード大学 | 2 | 2 | 2 |
オックスフォード大学 | 3 | 3 | 3 |
ロンドン大学(LSE) | 5 | 7 | 4 |
ケンブリッジ大学 | 4 | 5 | 5 |
カリフォルニア大学(UCB) | 6 | 6 | 6 |
スタンフォード大学 | 8 | 8 | 7 |
ロンドン大学(SOAS) | 7 | 4 | 8 |
ケープタウン大学 | 10 | 11 | 9 |
マンチェスター大学 | 9 | 14 | 10 |
オーストラリア国立大学 | 11 | 9 | 12 |
東京大学 | 24 | 25 | 25 |
私の個人サイトで国際協力キャリア相談を行っています。大学院進学に関する相談にも多く回答していますので、ご関心あれば是非ご覧になっていただければ嬉しいです。