2016年9月プノンペン-成田直行便就航
日本とカンボジアの友好条約が発効して60周年、今年9月についにカンボジア(プノンペン)—日本(成田)の直行便(ANA)が就航する。これまでカンボジアに行くためには、バンコクやホーチミンを経由し9時間は要していたが、この直行便により約6時間で日本からプノンペンに渡ることができるようになる。
カンボジアは日本人 にとって人気の観光地のひとつであろう。しかし、観光客の多くは、プノンペンに降り立つことなくシェムリ・アップに移動しているのではないだろうか。世界遺産のあるアンコールワットを訪れるためだ。
しかし、もしこれからカンボジアを訪れる人がいるならば、ぜひ1日プノンペンに滞在し以下の2つの場所を訪れてほしい。
トゥール・スレン強制収容所
クメール・ルージュ時代にカンボジア全土に200カ所に渡り展開された強制収容所の中枢を担う極秘センター。プノンペンの中心地に位置している。12,000名から20,000名の人々が収容されそのうち、生存者はわずか12名と言われている。
同収容所は現在、追悼施設として一般公開されており、収容所の内部を音声ガイドとともに実際に歩いて周ることができる。拷問に使われたとされる尋問室やベッド、鈍器、鉄の拘束具、独房などが当時のまま残されている。また、収容された人々の写真や亡くなった方の頭蓋骨、生存者が描いた当時の様子も紹介されている。生存者の方から直接当時の様子を聞くこともできる。
チェンエク大虐殺センター(キリング・フィールド)
プノンペン市内より南に約15km、カーン・ダンコー区チェンク村に位置するチェンエク大虐殺センター(通称キリング・フィールド)は、トゥール・スレン強制収容所で拷問を受けた人々の処刑場であった。同様のキリング・フィールドはカンボジア全土に約300存在したとされている。
現在は、犠牲者の追悼を目的とし慰霊塔を中心に敷地を一般に公開している。敷地内に残された大量埋葬地や墓地を巡ることができる。音声ガイドでは、各ポイントの解説や生存者の声を紹介している。併設された博物館では、ポルポト率いる民主カンプチア体制についての詳細を知ることができる。
虐殺の歴史は、カンボジアの人々にとってまだ遠い昔の話ではない。 自身や 家族が犠牲者であり悲しい過去を背負っている。カンボジアを訪れる人々にはカンボジアの 人々のキラキラとした優しい笑顔や、華やかに開発が進む 元気なカンボジアとともに、ほんの少し前のこの悲しい歴史にも触れてもらいたいと思う。