これまでのあらすじ
2016年下半期から始まったコメ価格暴落。精米業者がコメを買い取らないため、末端の稲作農家はマイクロファイナンス機関から借り入れを行うことで食いつないできた。しかし、一向に市況が上向かないことから、末端の農家の収益が悪化。マイクロファイナンスが貧困削減に効果が無いとの報告も出てきた。中央銀行はマイクロファイナンス機関の金利上限を大幅に引き下げるなどの措置を実施した。
- 中国の記録的な備蓄量により2017年は食料価格の下落の予測(12月5日)
- なぜカンボジアのコメ価格は暴落したのか?(12月21日)
- カンボジアの農村で貧困の負の連鎖が始まっている(12月22日)
- マイクロファイナンス機関の金利上限を18%に設定(3月19日)
※以下の記事はカンボジアビジネスパートナーズの提供。
マイクロファイナンス機関がカンボジア国立銀行からの援助を要求
カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)による金利の厳しい上限発表を受けて、84のマイクロファイナンス機関(MFI)を代表する業界団体の会長がNBCからの免税または安いローンを要求すると発言した。カンボジアデイリー紙が報じた。
カンボジアマイクロファイナンス協会のホウ・レン・トン会長は、「私たちは政府とNBCに対して、MFIへの貸付金利の引き下げや、一定水準の免税を要求する」と語った。
NBCにより4月1日付で実効される年利18%の上限設定が、MFIの小規模融資の平均的な年利20~30%よりも低いことから、今後、MFIは人員や経費の削減や、低所得者を対象とした融資の削減を強いられると関係者は警戒している。
メコンストラテジーパートナーズのスティーブン・ヒギンズ氏は、NBCが継続的にMFIにお金を貸すことは意味がないと説明する。同氏は、「カンボジアにおける米ドル建てのローンへの需要は、市中銀行への貸付を通じて金利や経済を管理するNBCの能力を阻害する。NBCは米ドルを印刷できないため、誰かが払わなければならない。MFIへの貸付に向けた米ドル獲得には、NBCに加え最終的には政府が払うことになるだろう」と語った。
(3月20日付カンボジアデイリー)
マイクロファイナンス機関が金利上限に寛大な構えを見せる
マイクロファイナンス協会の会長が、マイクロファイナンス機関(MFI)は4月1日付で設定される18%の上限金利に対し異論はないと発言した。クメールタイムズ紙が報じた。
同協会のホウ・レン・トン会長によると、カンボジア国立銀行(NBC)と経済財政省がMFIの円滑な管理に進めるために協会が求める仕組みを検討するという。
NBCはMFIへの年間免許料の削減や、他国からのローン借入の準備預金の遅延、最小限の払込資本(10%)と準備預金(8%)の遅延などに合意した。さらに協会とNBCは、源泉徴収税(14%)と利益税(10%)の削減に向けて経済財政省と協力する。
マイクロファイナンス機関の一つであるLOLCの代表は、NBCの承認は負債削減につながりMFIの運営に大きく貢献すると発言。同機関は今年、政府に対し年間免許手数料だけで28億ドルを支払っているという。
株主や貸し手との信用構築のため、MFIは運用コスト削減により、必要な経営決定が求められる。
同氏は、「上限金利が18%だと、3,000ドル以下のローンは厳しい。しかし私たちは未だ500~1,500ドルのマイクロローン(小口融資)を提供している。各MFIは生産性と効率性を強めればならない」と話す。さらに低い上限金利は、より小さなMFIの撤退にもつながるだろう。
(3月27日付クメールタイムズ)
カンボジア精米業者への緊急融資が不調、農村開発銀行
穀物の価格を安定させるための2,700万ドルの緊急融資資金の4分の1も融資されていない。クメールタイムズ紙が報じた。
政府は昨年、価格の暴落が発生した後、精米業者が農家から脱穀前のコメを購入するために、農村開発銀行(RDB)に1キログラムあたり840リエル(USD0.21)を融資するよう指示した。
RDBを通じてカンボジアコメ協会(CRF)に融資を行い、財団が保証人の役割を果たした。
CRFは、申請者を審査し、干ばつの後にベトナムから流入したコメとの競争に直面していた精米業者に手を差し伸べ、コメは輸出用に処理されたが、カンボジアの精米の輸出は、2015年に比べて昨年の0.7倍にとどまった。
RDBのカオ・タッチ氏は、「5人の精米業者が総額500万ドル近くのローンを申請した。世界のコメ価格の下落に伴い、資本力があっても買わないのかもしれない」と述べた。年利7%だった。
しかし、昨年に農林水産省のヴェイン・サコン大臣が、民間セクターとの会合で、国内の精米業者について苦言を呈したことがあり、「コメ産業が現在抱えている問題は外部的なものではないと考える。精米業者がコメ農家を真剣に支える気がない」と述べている。
(5月6日付クメールタイムズ)