マレーシアの労災保険制度と疾病・障害年金
マレーシアの社会保障システムの一部、労災保険制度を紹介します。雇用傷害保険・疾病年金制度は1969年の被用者社会保障法 (Employees Social Security Act 1969)によって始まった社会保険制度で、労働者と雇用者の保護を目的としているものです。文字通り、出勤時、出張時、業務従事中に起きた疾病や傷害について、同制度が補償するプログラムです。これによって、労働者は怪我などによる収入の減少が抑えられ、雇用者にとっても個別の予期せぬ労災事案に補償しなくてよいメリットがあります。
受給資格は、マレーシア国籍の労働者および低所得者層は強制加入となり、それ以外の労働者については雇用者との合意に基づく任意加入制度が用意されています。
雇用傷害保険の保険料は、雇用者が基準報酬の1.25%を負担することとなり、労働者の負担はありません。一方、疾病年金の保険料は雇用者と労働者がそれぞれ基準報酬の1%を負担することとなっています。
したがって、財源は保険料ということになります。なお、実施機関は、社会保障機構 (Social Security Organisation: SOCSO)が同制度を運用しています。
プログラム名(Programme Name)
雇用傷害保険・疾病年金制度(Employment Injury Insurance and Invalidity Pension Scheme)
実施期間(Implementation Period)
1969年から現在
カテゴリ(Category)
サブカテゴリ(Sub Category)
労働者災害補償保険(Workers’ Compensation)
受給資格(Eligibility Criteria)
マレーシア国籍の労働者、月収MYR 4,000未満の労働者、過去に保険料を納めていた月収MYR 4,000以上の労働者は強制加入。加入について雇用者との合意がある労働者は任意加入。ただし、外国人は除く。
加入方法(Enrolment)
保険料の支払い
支給金額(Benefit Level)
雇用傷害保険:医療補償(通院・入院・治療費)、障害給付(一時・永久)、葬儀給付、養育費、介護給付
疾病年金:障害給付、葬祭給付、遺族年金、葬儀給付、リハビリ給付
カバレッジ(Coverage)
雇用者:948,219人(2014年末時点)
労働者:1,525万人(この内、保険料を支払っている者は620万人)(同上)
受給者:570,625人(同上)
※2015年時点では、インフォーマル経済で生計を立てる労働者(自営、企業家等)も加入できる。
支給方法(Delivery Mechanism)
n.a.
財源(Financial Source)
保険料
保険料率(Contribution)
雇用傷害保険:雇用者が基準報酬の1.25%を負担
疾病年金:雇用者と労働者がそれぞれ基準報酬の1%を負担
インパクト評価(Impact Evaluation)
n.a.
備考(Remarks)
n.a.
参考資料(References)
- ILO. 2016. Malaysia: Employment Injury Insurance and Invalidity Pension Scheme.
- 厚生労働省. 2013. 東南アジア地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(マレーシア).