「ボンジュール」「モーニング」「おはようございます」
私の朝は毎日こんなあいさつで始まる。
あまり知られていないが、カメルーンはカナダと同じく数少ない英仏二言語公用語の国であり、どちらが第一言語かは出身地に左右される。10州あるうち、かつて英国領だったナイジェリア(西)寄りの2州は主に英語圏、その他8州は仏語圏である。仏語圏の方が広いし、仏語メインの人口の方が多いことは確かだが、バイリンガル率もなかなか高いのがカメルーンの面白いところ。ちなみにオフィスがある首都ヤウンデは仏語圏なので、基本言語はフランス語となっている。
そんなわけで、まずオフィス入口の警備員に「ボンジュール」、英語圏出身の受付スタッフに「モーニング」、日本人の同僚に「おはようございます」、と始まり、また清掃スタッフに「ボンジュール」、英語圏出身スタッフに「モーニング」と、朝のあいさつが続いていくのだ。
カメルーンのメディアは英語とフランス語が混ざっている
カメルーンがバイリンガル文化を大切にしていることは、メディアにも表れている。まずは新聞。Cameroon Tribuneという一番大手の新聞の紙面を見てほしい。よく見ると、英語とフランス語が混在しているのだ。しかもこれは対訳というわけではなく、記事によって英語だったりフランス語だったり。英仏両方読めないと、記事を全て理解することはできない。
またテレビも同じく、国営放送CRTVのプログラムは英語とフランス語が混在。夜のニュースは毎日19時半にフランス語のニュース、20時半に英語のニュースが放送されるが、内閣改造等の緊急速報の時はフランス語と英語のアナウンサーが並び、交互に同じことを話したりもする。そんなこともあり、仕事中にメディアのインタビューが入ると、フランス語で話した後に「今のをもう一度、英語でお願いします」というリクエストが来ることも稀ではない(インタビューを受けるのは私ではなく事務所長や日本大使であるため、少し離れたところから応援するしかできないのだが・・・)。