私は2018年7月に南インドタミルナードゥ州チェンナイにあるロヨラ大学院(マドラス大学の傘下に加盟)、社会福祉学部(Social Work、ソーシャルワーカー養成課程)に入学しました。これは日本と同じ2年間の修士課程で、プロのソーシャルワーカーとしての訓練を受ける場です。そのため、教室で行われる授業や研究は全体の4割で、活動の多くは実際のフィールドで行われます。これが私がインドの大学院で学ぼうと決めた一番の理由です。
そもそもなぜインドの大学院に進学しようと思ったのか。
何を学ぶにせよ、大学院選びに正解・不正解はなく、何に重点を置いて選び、そこで何をしたいのか、ただそれだけであると考えています。私が大学院に進学した理由は、将来どんな形であれ国際協力に携わっていきたいと考えているからです。そうすると、大学院進学はほぼ必須条件となります。大学院を選ぶ際に考慮した点はいくつかあるますが、その中でも重要視したのは以下の2つでした。
- 2年間でフィールドでの経験を出来る限り積み、現状を知ること
- 修士論文を英語で書くこと
そして2年という時間を使って、私が本当に途上国で生活していくことができるのか、現地の人と同じように生活し行動を共にすることができるのか、試してみたかった、というのもあります。これらの条件を踏まえたうえで、かつ私が当時進学可能だったのがインドの大学院でした。インドは貧困、児童労働、性的搾取等などの社会問題を専門的に扱い、解決を目指すプロのソーシャルワーカーの育成に力を入れています。卒業後はすぐにフィールドで活動が出来るように、と在学中からフィールドでの活動が多く、より実践的なプロジェクトを常に企画・実行しています。
もちろんデメリットもたくさんあります。開発系の大学院を目指すのであれば、誰しもがイギリスやアメリカの大学院を思い浮かべるのが普通だと思います。また日本にも有名な大学院は多く存在します。そういった世界最高峰の教育機関で学ぶというのは、やはり魅力的で教育の質はとてつもなく高い。そこに集まる学生の質も高い。そのような環境に身を置いて勉強したかった、というのは今でも感じるところです。インド、特に私が通っている地域の大学院はまだ留学制度もしっかりと整っておらず、授業の質も決して高いものとは言えません。それでも、インド国内で自国の社会問題をどうにか解決したいと願うインド人と共に勉強し活動したい、という思いからインドでの進学を決意しました。
理解しているつもりでもイライラしてしまうあらゆる場面での文化の違いや健康管理など、苦労していることは数え切れません。それでも1年目が終了した今、インドでの大学院進学に後悔はなく、インドで得た学びは想像以上に大きく、深いものでした。
今後インドでの大学院生活、特に実際のフィールドでの経験をこの場をお借りしてシェアしていけたら、と思います。そしてそれが、どんな形であれ誰かのお役に立てることを願います。
大学院1年目を区切りとして、今回クラウドファンディングにてプロジェクトを立ち上げました。インド社会で生活する中、日本人である私だからこそ出来ることはないか、と考え、選択したのがクラウドファンディングでした。母子感染によりHIV感染をしてしまったインドの女の子達を保護するNGOがかなりの財政難にあり、なんとかクラウドファンディングを通して効率的な運営管理を行えるよう支援することにしました。
クラウドファンディングは既に2019年5月下旬から始まっており、達成するため少しでも国際協力に携わる方々のお力をお借りできないかと、この「The Povertist」で記事を書かせていただきました。
まだまだHIV/AIDSに対する差別や偏見が著しく、その現状を目のあたりにしてきました。このクラウドファンディングを達成させても、根本的なインドのHIV問題の解決にはつながらないかもしれません。それでも国際協力への道を目指す大学院生として、目の前にいる子供達からでも、出来る限り手を差し伸べていきたいと思います。記事を読むだけでもインドのHIV事情を知るキッカケとなると思います。コミュニティーや家族からの差別により帰る場所を失っているインドの女の子達のために、ぜひご協力お願い致します。
食の支援を通してインドのHIV感染した女の子達を守りたい! – クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
インドタミルナードゥ州チェンナイにあるARKで、HIV感染によって帰る場所がなくなった10人の女の子達に1年分の食事をサービスします – クラウドファンディング Readyfor