今年もこの季節がやってきた。10月9日から11日の日程で、IMFと世界銀行は年次総会を開催した。今回の開催地はペルーのリマ。全世界の財務大臣・中央銀行総裁が一堂に会す一大イベントだ。年次総会では、プログラム・オブ・セミナー(POS)と呼ばれる各種イベントが開催されることが恒例となっており、近年ではインターネットを通じた生中継で全世界から視聴することができる。ここでは昨年度に続き、注目すべきPOSをピックアップしてご紹介したい。
オープニングイベント - 今日から2030年までに何をすべきか
今年の年次総会で注目すべきイベントを一つあげろと言われれば、間違いなくこのセミナーだろう。ジム・ヨン・キム世界銀行総裁、パン・ギムン国連事務総長、クリスティーナ・ラガルドIMF専務理事、ジャスティン・グリーニング英国国際開発相など、開発援助業界のリーダーが1時間自由討論を行った。20年後、私の世代が主役となるとき、日本の有識者もあの場に座りたいと思わせるイベントだ。
経済政策 - 不平等、機会、繁栄
このセッションは、社会的・経済的インクルージョン、不平等と貧困の関係、機会の平等の実務的な計測・モニタリング方法などを議論している。貧困撲滅と繁栄を組織命題に掲げるジム・ヨン・キム世界銀行総裁も登壇した。
産業政策 - ポスト2015開発アジェンダの実施へ向けて
こちらのイベントも興味深い。2030年までに誰が何をすべきか。経済構造は、産業政策はどうあるべきか。誰がどのような責任を負い、何をすべきなのか。ノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・スティグリッツ教授(コロンビア大学)含む有識者によるパネルディスカッション。
教育政策 - 公平な経済成長へ向けた質の高い教育
教育分野に関心のある方にとっては興味深いパネルディスカッションかもしれない。これまでの教育セクターのトレンドは、教育へのアクセスだった。つまり、就学率を改善し、退学率を下げ、より多くの子供たちが学校へ行けるようにする。それが教育セクターがこれまで注目してきたことだった。しかし、トレンドは徐々に変わりつつある。学校教育の質の向上をいかに達成するか。関心が移ってきている。このセミナーではバングラデシュ、ペルー、セルビアから大臣も討論に加わり、活発な議論が行われた。
農業政策 - 気候変動対応型食糧システムへ向けて
旱魃、洪水、天候不順。気候変動の影響は年を追うごとに実感に変わり、確実に開発途上国を脅かしている。2050年までに、私たちはどのようにして90億人を養う食糧システムを構築できるのだろうか。気候変動対応型食糧システム(Climate-Smart Food System)について有識者が議論を行った。ジム・ヨン・キム世界銀行総裁とルワンダの財務経済計画大臣も討論に参加している。