金曜日。労働省から来週の面談依頼が入った。社会保障を管轄する局長からの連絡で、国際労働機関(ILO)の雇用保険改革に関する分析と提言について聞きたいとのことだった。
インドネシアの雇用保険制度は2021年2月に始まり、2022年2月に給付が開始されて約2年が経過した。施行規則によると、2年に一度見直しをしなければならない。日本の年金制度が5年に一度の財政検証を行うのと比べると頻度が高い。他の社会保障制度についても3年に一度の見直しが定められている。
私たちは昨年、この見直しに向けて分析と提言をまとめ、労働省の局長にも何度か説明してきた。今回の依頼は最終化の段階での最後の確認だと思われる。
現状、雇用保険の加入者は1300万人いるが、失業給付(求職者手当)を受給している人は毎月2万から3万人、年間で36万人程度にとどまっている。これは制度設計時に年間100万人程度と私たちが推計していた数字を大きく下回っている。
私たちは以下のような分析と提言を行っている。
短期契約の問題: インドネシアの労働法では、極めて短期の契約を繰り返し更新することが可能だ。これにより、契約が更新されない「雇い止め」の際に失業給付を受けられない状況が生じている。私たちは、雇い止めの場合にも失業給付を支給すべきだと提言している。
受給制限の解除: 現行制度では、生涯で3回しか失業給付を受けられず、2回目以降は5年間の間隔が必要となっている。これでは、最も給付を必要とする短期雇用を繰り返す労働者が恩恵を受けられない。この制限の撤廃を提言している。
労働者の保険料負担: 現在、労働者は保険料を負担していない。これは他国では例が少なく、制度の持続可能性の観点から労働者も保険料を負担すべきだと提言しているが、労働組合の反対もあり実現は難しいかもしれない。
適用範囲の拡大: 現在、零細企業や一部の日雇い労働者(特に建設業)が実質的に適用対象外となっている。適用範囲を段階的に拡大していく必要がある。
標準報酬月額の上限引き上げ: 現在の上限(500万ルピア)は低すぎる。ジャカルタの平均賃金よりも低い水準に設定されていることから、これを1,000万ルピアへ倍増させることを提案している。これによって保険料の支払いが倍になるため、日系企業にとっても負担増となる。しかし、長期的には健全な労働市場の整備に資すると考えている。
これらの提言の多くが、現在労働省が最終化している政府規則の改正案に組み込まれることを願う。これが実現すれば、インドネシアの労働市場はより先進国に近づくことになるだろう。長期的に見れば、日本企業を含む民間企業にとっても、労働者にとってもプラスになると考えている。
※この記事は、AIが筆者の音声ファイルを文字起こし・執筆し、筆者が編集したものです。