コーヒーを淹れ、ベランダに座る。カンボジアコーヒーの濃い香りが「目覚めよ」と朝を告げる。
土曜の朝は特別だ。お気に入りのエスプレッソメーカーにいつもより多めに水を入れ、コーヒーもいつもより多めだ。
週日の朝は慌しく、ただただ目覚ましの一環としてコーヒーを薬のように飲むことが習慣となってしまったけれど、週末の朝だけはゆっくりとコーヒーを楽しむことにしている。
意外や意外、カンボジアにはコーヒーの産地がある。北東部ラタナキリ州で採れるコーヒー豆は、日本や世界中で一般的なアラビカ種とは異なる。酸味が少なく、とにかく濃い。まるで何か『ドロドロ』しているものを見ているようだ。
カンボジア人にとってコーヒーは生活の一部となっており、プノンペンの街を歩けばたくさんの人がコーヒーを楽しんでいるのを見ることができる。
ただ、その飲み方は特徴的で、濃いコーヒーにたっぷりのコンデンスミルクを入れて飲む。自称コーヒー通の方には信じられないかもしれないが、これが旨い。それはむしろコーヒーというよりも、何か別の飲み物のような感じだけれど。