CURRENT EDITION
焦げ付く融資と開発目標 2019年6月1日号
伝統的に開発援助を行ってきた西側諸国と日本。OECDに設置された開発援助委員会(DAC)が監視機能を果たすことで、譲許性を担保した秩序ある開発援助が展開されてきた。21世紀の開発援助においては、伝統的な開発援助国はもはや主役ではなく、民間資金やDACの監視下に無い新興ドナーの影響力が高まってくると考えられる。中国は一帯一路を掲げ、中央アジアや東南アジアへ影響力を拡大している。ベトナムのように中国と対立する国もあれば、中央アジアやアフリカのように中国と蜜月の関係を築く地域もある。その結果、譲許性の低い融資を返済できず、利権が中国へ合法的に移譲されるケースも報じられている。開発目標の達成には、伝統的に開発援助を行ってきた「20世紀ドナー」の力のみでは不十分で、21世紀の開発援助を担う新しい勢力の関与が不可欠。援助提供側が秩序ある開発融資を行わないケースも散見される中、援助受入国が債務持続性を判断する自力がこれまで以上に求められる。新しい開発秩序への対応が喫緊の課題といったところだろうか。
CONTENTS
01 外的世界と絡み合う中央アジア
Story / Central Asia / Naoki Nihei / 記事リンク
中国がホストした現代版シルクロード構想といえる一帯一路。中央アジアの巨大な鉄道インフラ開発プロジェクトが注目されている。
02 ベトナムのSDGs達成へ向けた取り組みと進捗
Column / Vietnam / Kuniharu Yamada / 記事リンク
「宇宙船地球号」 ― 地球の限りある資源の下、我々はどのような行動をとっていくべきか。地球が一体となって取り組むべき国際目標SDGsのベトナムにおける状況。
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03 中央アジアを巡る政治、経済、文化
Story / Central Asia / Naoki Nihei / 記事リンク
自身が最近訪問したタジキスタンの現地の状況、シルクロード文化遺産と日本との関係を紹介。
04 「社会派イラストレーター」牛嶋浩美さんとの奇跡のコラボ
Column / Vietnam / Kuniharu Yamada / 記事リンク
アートをとおした国際協力を様々な形で展開している「社会派イラストレーター」牛嶋浩美さん。青年海外協力隊の活動とコラボレーションが実現。
05 バングラデシュのコメ作り
Column / Thailand / Hiroyuki Konuma / 記事リンク
3月にバングラデシュを旅行した。日本のNGOシェア・ザ・プラネットの筒井哲朗代表理事に同行して、同NGOが東部のジェナイダー県で展開している節水技術導入による持続型農業事業の視察をするのが主な目的だった。
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