シエラレオネは天然資源の恩恵を授かったアフリカ西部の国だ。しかし、天然資源に依存する歳入は、楽観視できない状況となってきている。私は鉱業税について研究している。とりわけ、なぜ天然資源に関する歳入が減り続けてきているのか関心がある。
私がシエラレオネを出発した2013年、国政選挙が平穏に実施された2012年、鉄鉱石の採掘が再開された2011年、経済成長の見通しは良好だった。しかし、エボラ出血熱のアウトブレイクがシエラレオネ、ギニア、リベリアで2014年4月に発生し、経済見通しは変わってしまったのは言うまでも無い。
これに伴い、シエラレオネの経済成長率、天然資源の輸出高、歳入の見通しは下方修正された。そして、私が現地調査のために足を踏み入れた2015年6月までに、エボラ出血熱は4,000人の命をシエラレオネから奪っていた。
アウトブレイクは、保健システムがいかに機能していないかを示すきっかけともなった。エボラ出血熱が流行したとき、検査を実施できる保健施設は、シエラレオネにたった一つしかなかった。それも、外国のNGOによって運営される施設だった。
ひとつ驚いたことがある。もちろん、エボラ出血熱に関する情報はフォローしていたが、この病魔がシエラレオネの人々の日々の生活を変えていったことは、私が想像できなかったことである。シエラレオネは、貧困率は高いものの、人々は社交的で笑顔を絶やさずに生活していた。エボラ出血熱のアウトブレイクが、こうした人々の交流へ大きな影響を及ぼしていたのである。
この記事はThe Povertist編集部が原文の一部を翻訳して掲載しています。