6月16日は、国際家事労働者の日
今日は、国際家事労働者の日(International Domestic Workers’ Day)です。「です」と言い切ったものの、こういう仕事をしていなければ知ることのなかった「マイナーな記念日」だと思います。
多くの日本人にとっては、お手伝いさんを雇うことは「一部の富裕層の贅沢」であって、一般庶民にとっては遠い存在でしょう。一方、ヨーロッパや植民地時代に西欧文化が根付いたアジア・アフリカ諸国で仕事をしている方にとっては、お手伝いさんがもう少し身近かもしれません。私の経験的に言っても、働く女性が多い北米やヨーロッパ地域では、お手伝いさんを雇う家庭が比較的多い気がします。
今日は「国際家事労働者の日」ということで、お手伝いさんをトピックとしたいと思います。
お手伝いさんは社会保障に加入していますか?
突然ですが、開発途上国で開発援助に携わる皆さん。お宅のお手伝いさんは社会保障に加入していますか?
私はまだ経験はありませんが、開発援助に携わる実務家が途上国へ赴任すると掃除・洗濯をお手伝いさんにお願いすることは多いと思います(※)。
その際、社会保障はどうしていますか?恐らく、ほとんどの方が考えたことは無いのではないでしょうか。
世界の家事労働者の90%は社会保障に入っていない
ILO社会保障局が発表した報告書によれば、世界の家事労働者(Domestic Workers)の90%が社会保障の適用を受けていません。実に、6,700万人中、6,000万人が社会保障から除外されていることになります。ちなみに、家事労働者の80%が女性です。
原因はたくさんあります。社会保障でカバーされるためには、多くの場合、保険料を定期的に納めることが求められます。しかし、開発途上国の家事労働者の場合、高い離職率、現物払い、不規則な収入などを理由に、定期的に定額を納めることが難しい実態があります。こうしたことから、家事労働者の社会保障カバレッジを上げることは、大きな課題として認識されてきました。
同報告書では、「完璧な解決策はない」としつつも、適用の義務化だけでなく、奨励金や登録制度など、複数のアプローチを雇用者とともに模索する必要があるとしています。
まずは、ご家庭のお手伝いさんから
開発途上国のために働いている皆さん!まずは、お宅のお手伝いさんの社会保障をチェックしてみてはいかがでしょうか。
居住国によっては、法律によって「雇用者の義務」となっている場合もあるかもしれませんよ・・・?
※「雇うこと自体が贅沢だ!」と批判する方もいると思いますが、今日の論点からは除きます。
ILO. 2016. Social protection for domestic workers: Key policy trends and statistics.