JICA研究所が推計値発表、中国による開発援助量が高水準
JICA研究所が6月30日に公開したワーキングペーパー「Estimating China’s Foreign Aid II: 2014 Update」によれば、中国の開発援助量の増加傾向は続いているようだ。
中国の対外援助額は、政府が公式統計を発表していないために、ベールに包まれていた。そこで、JICA研究所の研究チームが独自の手法で研究を行い、推計値を発表していた。
今回の論文は、前回発表された推計値のアップデートを試みたもの。引き続き増加傾向がみられる。
推計によれば、中国の対外援助(純額:NET)は2012年の約52億ドルから2013年には約54億ドルに増加したものの、2014年には約49億ドルに減少した。微減とはいえ、引き続き高い水準を維持していることに変わりはない。この水準は、先進諸国と比較しても引けを取らず、世界第9位(2013年)に相当する。
JICA研究所のプレスリリースによれば、2015年以降も引き続き増加傾向は続く見通し。先進諸国と比較しても、上位に食い込んでくると予測している。
また、現在国際社会で議論されているODAの定義ではとらえきれない、中国ならではの対外援助の方向性についても注視していく必要があるとされている。
援助する側となった中国の動向から目が離せない。
中国対外援助とDAC諸国のODAの推移(純額)(単位10億米ドル)
中国対外援助額(純額)の推計額(単位10億米ドル)
外部リンク
- Kitano. 2016. Estimating China’s Foreign Aid II: 2014 Update.
- プレスリリース「JICA研究所は中国援助量推計の論文を公開しました」