タイ大使館の参議官によると、カンボジア-タイ両国間の昨年の年間貿易額が50億ドルに対し、今年第1四半期の累計は既に16億ドル、前年同期比15%伸長している。クメールタイムズ紙によると、参議官は、「2020年に貿易額を既存の3倍にするという両国共同の目標は達成できる見込みだ」と語っている。
主な要因は、両国間の関係が良好であることに加え、カンボジア側のインフラの改善だ。両国間を結ぶ鉄道線が今年度末に2路線開通することが予定されており、今後は更なる貿易量の拡大が予想される。鉄道はタイのサケーオ県とカンボジアのバンテアイ・ミエンチェイ州を結ぶ予定だ。
鉄道輸送が運用されれば、物流コストの削減により製品の市場価格が下がり、さらに輸送量も大幅な増加に繋がる。ASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community: AEC)の運用のために事務処理面での簡素化も進み、関税が安くなることを加味すると、「タイからのカンボジアへの投資は間違いなく増える」と前出の参議官が語った。
ただし、昨年の50億ドルの両国間貿易額のうち、カンボジアからタイへの輸出額はわずか5億9300万ドルにとどまり、残りは全てタイからの輸入によるものだ。カンボジアは輸送インフラの改善にとどまらず、生産力を向上させる努力も同時並行で進める必要があるだろう。
なお、タイからの輸入品は、建設資材や農業資材、自動車部品、衣服、住宅部材、化粧品などの工業製品が中心で、タイへの輸出品はコメ、キャッサバ、トウモロコシ、パームシュガーなどの農産物が中心だ。