カンボジアレポート 7-プノンペンの夕暮れ
3月24日 PhnomPenh (Cambodia)
カンボジアの長い一日が終わる。
トゥールスレンを出ると真っ赤な夕日が僕らを迎えてくれた。大き く育ったヤシの木、すっかり乾ききった洗濯物。少し目を移せば長閑(のどか)な生活が垣間見える。その一方、トゥールスレン収容所も美しい夕日に映し出さ れている。長く伸びたその影はカンボジアの暗い歴史の影をそのまま今に伝えているようだ。
夕日が沈み始め、街はオレンジ色に染まっていく。ヤシの実を売っていたおばちゃんも、真っ黒のシャツを着た機械工も、ハンモックでずっと寝ていたおじちゃんも、みんな家族の元へ帰っていく。そして僕らを乗せた少し大きめのワゴンも帰宅ラッシュの中を走っていった。
ふと横に目をやると、後ろに恋人を乗せたバイクが広場へ向かって走っていった。この時間、広場は暑い昼間とは打って変わって、たくさんの人で埋め尽くさ れる。涼しくなったこれからが楽しい時間帯なのだろう。歌っている人、踊っている人、立ち話をしている人。みんなグッタリしている昼間とは180度違っ て、楽しそうな風景がそこには広がっていた。
僕らが宿泊するホテルはなかなかの高級ホテルだ。中国系資本によるホテルのようだった。今回のたびは高齢の方が参加していることもあって、学生の僕にとっては少々お高い旅費となっている。
ふわふわの大きなベッド、高い天井、大きなテレビ。全てが驚きだった。空調が効いていること自体に驚いていたのだが、部屋はもっとすごかった。日本でさえこんなホテルにはあまり出会えない。それ程、高級感漂う部屋なのである。
ディナーは街へ出て食べることになった。街へ一歩出ると、もの凄い音に驚かされる。四方八方から聞こえてくる車のクラクション。街灯の少ない街も、大渋滞の車のライトで十分明るくなっている。
カンボジアでは数年前にやっと信号機がいくつか出来たばかりだそうだ。首都プノンペンでさえ、未だに数えるくらいしか信号機はない。話によると4つとか5つだとか・・。
その数少ない信号機もカンボジアの人たちにとっては全て『青』に見えるようで、不慣れな僕らにとって、いかに轢(ひ)かれないタイミングで横断するかがもの凄く大変なのである。