カンボジアのマイクロファイナンス業界は、不良債権比率(NPL)の上昇が懸念されるも、2016年上半期も貸付残高は急成長し続けている。プノンペンポスト紙が報じた。
カンボジアマイクロファイナンス協会(CMA)の報告書によると、2016年上半期の貸付残高は、対前年同期比34%増の約32億ドル、一方、全体の不良債権額は4300万ドルで、不良債権比率は対前年同期比1.3%に増加した。業界関係者は不良債権比率に懸念を表明し、業界全体が融資の質を強化し、より慎重な貸付が必要であると述べている。
サタパナ銀行のブン・モニーCEOは、「6月以降、植付けシーズンで農家からの需要がピークだったが、融資を縮小していた」と述べ、「融資拡大を行いたいが、ローンの品質強化にもっと注意する必要がある」と話した。また、CMAのホウ・レントン会長は今年7月に、「支払いが30日以上延滞しているローン比率が1%を超えれば、貸し手は慎重になる必要がある」と述べた。
また、経営コンサルタント会社バウアーグループアジアのカンボジアマネージングダイレクターは、「農村地域におけるマイクロファイナンス機関の融資が拡大しているが、農民の環境は改善が見られておらず、収入は少ないことから農民の多くが他国に出稼ぎをし、その仕送りの大部分が債務返済に充てられている」と話す。
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