タクシー運転手と話すことは一つの楽しみになりつつある。世界中どこへ行ってもタクシーを見つけることができる。同じといっても形は違う。カンボジアではモトドップ(バイクタクシー)。タイではトゥクトゥク(三輪バイク)。アメリカではキャブ。ただ、一つ共通していることがある。タクシー運転手はどこの国でも物知りで、国内外のホットな話題にやたら詳しい。しかもただの物知りではない。客や同僚と議論を重ね、情報収集だけでなく自分なりの考えを持っている。運転している間はラジオを聴き、客を待っているときは新聞を読む。あらゆる情報がタクシー運転手に集まる。
全ての開発援助関係者にとって情報収集は欠かせない日々の仕事。しかし、私たちが触れる情報はメディアを通じた声であって、市民・住民の声を耳にすることはほとんどない。タクシー運転手は日々住民の声を聴き、メディアの情報と現実を比較する機会を持つ。私の経験が正しければ、タクシー運転手は世間の声を代弁しているように思う。主観的、客観的問わず、様々な情報がいろいろな視点で集まる場所。それがタクシーであり、それを踏まえて議論を展開するのがタクシー運転手なのだ。
面白い話があるたびにここに書きたいと思う。