意外にも準備着々、第一回年次総会を6月末開催へ
日本国内では、不評を極めているアジアインフラ投資銀行(AIIB)。しかし、意外にも準備は着々と進んでいるように見える。
6月25-26日には、第一回年次総会を北京で開催する。57加盟国から、中央銀行総裁や財務大臣が出席することが見込まれている。また、IMF・世界銀行年次総会でも恒例の公式セミナー(Program of Seminars: POS)の開催も予定されている。
世界銀行、アジア開発銀行、欧州投資銀行と協調融資で合意
AIIBは既に多くの国際開発金融機関と協調融資を検討している。
4月13日、世界銀行と協調融資の方向で合意した。中央アジア、南アジア、東アジアのエネルギー、水資源、運輸交通分野で10件程度。2016年12月末までに12億ドル(約1,300億円)の融資を計画している。インドネシアのスラム開発案件で協調融資が発表されている。
5月2日、アジア開発銀行(ADB)との間で覚書(MOU)を締結し、持続可能な成長へ向けて協力していくことを表明した。AIIBとADBは既に検討を始めており、道路と水資源分野へ協調融資を行う予定。最初の協調融資案件は、パキスタンのM4ハイウェイプロジェクト。パンジャブ州Shorkot-Khanewa間の高速道路を64キロ延長する事業だ。この他にも、エネルギー、運輸交通、通信、農村・農業開発、水資源、都市開発、環境保全分野でさらなる協力を模索していくようだ。
5月30日、欧州投資銀行(EIB)と連携、協調融資で合意。EIBの得意分野である気候変動、運輸交通、水資源などの分野で協力が予想される。タジキスタンの道路案件で協調融資が発表されている。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)が協調融資で合意した主要機関と協力分野
世界銀行 | アジア開発銀行 | 欧州投資銀行 |
水資源
運輸交通 エネルギー |
水資源
運輸交通 通信 農村・農業開発 都市開発 環境保全 |
水資源
運輸交通 気候変動 |
中央アジア
南アジア 東アジア |
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日本はアメリカとともに蚊帳の外だが
日本はアメリカとともにAIIB不参加を表明している。一方、主要な国際開発金融やヨーロッパの多くの先進国が参加し、具体的な協調融資案件も着々と準備が整っている。協調融資の話が具体化していけば、人的・知的交流も進み、AIIBの組織体制の強化が進むことになるだろう。
政治・外交的な判断は多々あるだろうが、AIIBの影響力は着々と強まってきていることに変わりはなさそうだ。