インドネシアの人口は現在2億7,000万人。今後30年で3億3,000万人まで増加する見込みだ。労働年齢人口は1億5,000万から1億7,000万人ほどで、政府は「人口ボーナス」を経済成長の機会と捉えている。
だが、私の見方としては、人口ボーナス後の急速な高齢化への備えが不十分だ。2020年には高齢者1人に対し働き手が6人いたが、2050年には1対3になる。つまり、若い世代の負担が急増するのだ。
問題は、現在の約3,000万人の高齢者数が、25年後には高齢者人口が7,000万人に膨れ上がる。現行制度では、そのほとんどが年金なしで退職することになる。
現在、年金制度に加入しているのは公務員や軍関係者約400万人、民間労働者約1,400万人のみだ。
さらに、自営業者やギグワーカーは制度に加入する権利すら持っていない。例えば、ウーバーのようなアプリで働くバイクタクシー運転手たちだ。これは、社会保険実施機関であるBPJS雇用の怠慢ではなく、法的枠組みの問題だ。
政府も課題を認識し、2023年1月に確定拠出年金(JHT)に関する改革法が国会を通過した。だが、これは個人口座型の制度で、給与が低ければ貯蓄額も少なくなる。安定した老後を保障する仕組みとは言えない。要するに、課題の本丸に切り込む改革法ではない。
一方、2015年に始まった確定給年金(JP)も、最低加入期間15年の要件があり、まだ誰も受給していない。現行制度では2030年まで誰も年金を受け取れない構造だ。
私は、この確定拠出年金改革法を契機に、抜本的な年金制度改革の議論を展開している。労使双方が納得する制度設計が不可欠だ。政府は今年中に施行規則を策定しなければならない。
私たちの技術協力は、各国の年金制度を紹介し、インドネシアに適した分析と政策提言を行うことだ。
雇用保険や産休育休など、社会保障制度全般の改革が同時進行している。インドネシアの社会保障制度は大きな転換点を迎えている。
※この記事は、AIが筆者の音声ファイルを文字起こし・執筆し、筆者が編集したものです。