ハイチの悲劇。連日の報道によってその惨劇が伝えられる一方で、その対応と復興が遅れていると囁かれている。「誰が」「どうやって」手をさし伸ばすことができるのか。こうした議論が巻き起こっている。
悲劇をいち早く伝えるのがメディアの使命だとすれば、それを受けて援助に動くのは各国政府なり援助機関であり、それらの機関を支えるのが個人である。今回のケースでも、メディアは現場の状況を連日伝えているし、それによって視聴者の多くが嘆き、悲しみを共有できている。しかし、緊急支援の手が今なお現地まで十分に届いていない。なぜか。
もちろんそこにはたくさんの理由(例:政治・外交上の障壁、インフラ・調達にまつわる物理的障害など)がある。しかし、最終的には援助の専門機関が個人と被災地を結ぶ役割をいかに果たすかが大きなチャレンジの一つとなるのではないか。
その一環として、今週始め、英国開発学研究所(Institute of Development Studies内に拠点を構える英国開発学図書館(British Library for Development Studies)は 面白い試みを始めた。利用者向けのメールによると、「今週月曜日から金曜日までの貸出図書の全延滞金をハイチへの寄付に回すため、積極的に延滞して下さ い」とのことだった。私もお世話になった機関だが、なんともユーモアあふれるキャンペーンである。一見奇抜なアイディアを即座に実行できる点が優れてい る。
私自身、街頭へ出て募金を集めたり、リサイクル用品を売って資金を集めるなど、NGOのファンドレイジングにも関わったことはあるが、日本ではこうしたことを実行するのは容易ではない。たいていは変わり者と思われ、実行しても、中々賛同者を得られないのが常だ。
日本人が援助に関われる身近な機会・文化がもっと自由に形成されていく必要性を常々感じる。また、ユーモアを駆使して、多くの人々が楽しみながら参加できる開発援助の機会を提供することが援助機関の腕の見せ所なのかもしれない。