「一日当たり1.25ドルは、アジアの絶対的貧困の指標としてふさわしくない。」
アジア開発銀行(ADB)が発表した報告書が注目を集めている。1.25ドル貧困線(貧困ライン)を適用した場合、2010年の東アジアと南アジアの貧困率は、12%と31%。一方、ADBが今回設定した貧困線を適用した場合の貧困率は、アジア平均で49.5%とこれらを大きく上回る。これに基づけば、2030年の貧困率は17%に留まり、絶対的貧困の撲滅は達成されない可能性が一層高まるという。
異なる貧困線の適用によって生じる貧困率の違いは、脆弱性を考慮しているか否か。1.25ドルは突発的なショックやそれに伴う一時的貧困のリスクを考慮していない。他方、アジアでは災害やその他のショックにかかるリスクが大きく、これを無視して絶対的貧困を計測することは現実に見合わないようだ。
参考文献
ADB (2014) Key Indicators for Asia and the Pacific 2014
DW (2014) Interview of Guanghua Wan, Principal Economist at Asian Development Bank.