ターゲティングとは文字通り案件の対象者を選定することです。社会政策、特に条件付現金給付(CCT)や社会的保護関連の案件では必須となっています。マーケティングなど、途上国開発や貧困削減以外の場面でも登場する用語ですが、ここでは現金給付プログラムでどういったターゲティングツールが使われているか紹介します。
1. ミーンズテスト
家計データを収集。経済水準を所得・支出から推計し、プログラムの対象家庭としてふさわしいか(貧困層かどうか)判別するツール。
2. プロキシミーンズテスト
主に保有資産に関する量的・質的データ、家族構成や就学状況等のデータを収集し、ターゲット層を選定するために使用。
3.コミュニティターゲティング
コミュニティの事情はコミュニティが一番知っているということを前提に、案件の対象者となるべき人・家庭をコミュニティに選定させる手法。
4.ジオグラフィカルターゲティング
案件対象世帯を地域から特定する。例えば、貧困率やHIV感染率の悪い地域の全家庭を対象とする等。CCTプログラム等では、ターゲティングの最初のステップとして用いられ、パイロット地域を限定するためにしばしば使われる。
5.デモグラフィックターゲティング
人口グループ別にターゲティングする手法。案件対象者を小学生とする教育プログラム、若者の雇用促進プログラム等はこれにあたる。
6.セルフターゲティング
案件対象となりたい人が自ら名乗り出るもの。労働集約的な簡易インフラ建設に従事する対価として最低賃金を支払うようなPublic Work等のプログラムでしばしば用いられる。ミーンズテスト等と比べて、データ収集の必要がないため、非常に安価なのがメリット。
以上、ターゲティング手法は様々あるが、政策決定者、専門家はどのターゲティング手法が案件・地域・国に適しているか総合的に判断する必要がある。
Bibliography
World Bank (website) Targeting.
Eldis (website) Targeting.